特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(特養)は、中重度の要介護高齢者が生活するための施設です。
社会福祉法人や医療法人が運営をしている公的な施設で、入居時にまとまった入居金は不要です。
介護保険の財源で運営している部分が大きく、月額費用も有料老人ホームなどと比べて安価に利用することができます。
入居対象は、自宅での生活が困難になった原則要介護3以上の高齢者で、原則として終身に渡って介護が受けられます。
「従来型」と「ユニット型」の2つのタイプがあり、古くからある「従来型」は4人部屋の多床室が多く、施設全体の入居者を職員が介護を行います。
2002年から制度化された「ユニット型」では、プライバシーを確保された個室で、10人程度を1つのユニットとして担当の職員が介護を行います。
これは個人のプライバシーを尊重し、少人数の単位で家庭的な雰囲気の中で個別ケアを充実させることを目指したものです。
看護師の24時間配置は義務づけられていません。
そのため、施設側の看護師体制などにより24時間ケアを必要とする方や、看取り希望者の受け入れができないケースもあります。
特養は入居待機者が多いことで有名でしたが、2015年から入居条件が厳しくなったことで待機人数は減少傾向にあり、待機期間が短い施設もあります。
入居までの順番は、毎月入居判定委員会が開かれて決定されます。
介護度や家族の状況などから緊急度が点数化され、点数が高い順に入居できます。
特養にもいくつかの種類があります。
【サテライト型居住施設(サテライト型特養)】
本体施設と密接な連携を取りながら、別の場所で運営される地域密着型特別養護老人ホーム
本体施設とは、同じ法人で運営される特別養護老人ホーム、地域密着型特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、病院もしくは診療所に限られ、通常の交通機関を利用しておおむね20分以内で移動できる場所にあることが条件
サテライト型特養の人員・設備基準には下記のような緩和措置があります。
・施設長は本体施設と兼務が可能
・医師、栄養士、機能訓練指導員、ケアマネージャーは配置しなくても良い
・看護職員は非常勤でも良い
・入居者診察のための医薬品・医療機器臨床検査装置があれば医務室は不要
【地域密着型特別養護老人ホーム】
入居定員が29名以下の小規模な施設
原則として施設がある市町村に住民票を有する要介護3以上の方が対象
【広域型特別養護老人ホーム】
入居定員が30名以上で、どの地域の居住者でも入居が可能
特別養護老人ホーム(特養)のメリット
【費用が安い】
所得に応じた費用の減免制度があります(毎年 申請が必要)
【24時間介護が受けられる】
介護スタッフは24時間常駐し、必要な時に適切な介護を受けることができる
【原則として終身にわたり入所できる】
長期入所が前提であり、原則として終身にわたり介護を受けられる
特別養護老人ホーム(特養)のデメリット
【入居できるのが原則要介護3以上】
【入居できるまでに時間がかかる】
他の施設と比べると待機人数は多い
入居までに数年かかることもあります
【医療体制に限界がある】
施設側の体制によっては夜間のたん吸引など、医療依存度の高い方の受入が難しい